ことばのおきば

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シン・仕事道

2019年に「働き方改革関連法案」が順次施行、2024人年4月に完全施行されました。とは言え、この程度の事で社会全体の意識が変わる筈も無く、今後もブラックな労働環境は変わりません。

本当に日本が変わる時は、トラブルメーカーでしかない「ダメ上司」が一掃される時です。海外ではダメ上司の部下はドンドン退職して誰も残らないと聞きますが、それと同じことをしない限り、ダメ上司は消えません。

そもそもパワハラ上司、モラハラ上司、無責任上司などという歪(いびつ)な存在が放置されてる現状がおかしいのです。人の上に立つのは簡単な事ではなく、それなりの「下積み」を経験しなければ、とても務まるものではありません。

 

昔は「徒弟制度」がありましたが、今はマニュアル化が進んで「下積み」が重視されなくなりました。不景気と労働人口の減少により、後進育成のコスパ・タイパを見直した結果のようですが、これにより「仕事道」と言う考え方は成立しなくなりました。

 

かつて私が勤めていた会社の部署は、職人気質の社員が現場を仕切る荒っぽい所でした。また、私が入社した頃は組合活動が活発で、ストライキサボタージュが日常の風景でした。今にして思えば、本当にロクでもない職場でしたよ・・・。

ストやサボりの常習犯は、組合活動と称して楽をしていたベイビィ社員ばかりだったので、50歳を超えた時点で勧奨退職(いわゆる肩叩き)によって排除されました。同年代で最後まで会社に残れたのは、ベイベェ共の尻拭いをさせられた人達でした。

でも、尻拭いをさせられた人達はストレスと人間不信に苦しみ、定年退職後に早世する人が多いと聞きました。私も質の悪い先輩や上司の尻拭いをさせられましたが、それが「下積み」になっていたかと言えば微妙です。

 

明確に「あれは下積みだった」と言える期間は、勤続25年のうち、たった一年間だけです。その期間だけ、自ら優れた手本を示し、その後で私のやりたいようにやらせてくれる上司に就く事が出来たのです。

その上司も尻拭いで心が荒み果てていましたが、真面目に働く人間には寛大でした。本来は善良な人物だと思うのですが、クソ真面目の度が過ぎていたし、仕事が出来ない人間を強烈に見下す傾向もあったので、正直「こうはなりたくない」と思ったものです。

悪い畑では良い作物が育たないのと同じで、会社で社員を育成しようと思ったら、まず会社を良くしなければいけません。そして会社を良くするには、ダメな奴をサッサと摘まみ出すか、善良な人間を厚遇する事です。

 

個人的には、自分自身は大して仕事が出来なくても、部下の育成が上手ければ、上司としてはOKだと考えます。逆に、仕事は出来ても部下の育成が苦手な人物は、出世させるべきではありません。

いわゆる「ティーチング」や、マニュアル化を進めるだけでは、人材は育ちません。仕事を人格陶冶、霊性向上の「道」と捉え、自力で答えを出せるように育成する「コーチング」の能力こそが、上司には必要なのです。

実の所、今の日本に最も必要なのは、抹香臭い宗教や、胡散臭いスピリチュアルに代わる、洗練された「道」だと思います。