悟りの視点からすると、善悪正邪に絶対の基準は無く、全ては「人間が自分の都合で勝手に決めつけている事」となります。この世に絶対正義は存在し得ず、正義執行は独断と偏見による行動に過ぎません。
ですから、反対意見や、異なる価値観が生じるのは当然ですし、それはむしろ歓迎すべき事と言えます。大切なのは、お互いの意見に耳を傾け、正面から堂々と意見を戦わせ、より良いものを生み出そうとする事です。
でも、このような建設的な考え方をする人間は意外と少なく、殆どの人は自分の意見が通らないと駄々を捏ねたり、脅迫や嫌がらせをし始めます。対話の意思が無く、生産性も無い人と正面からやり合うと、終わりの見えない泥沼の戦いになってしまうのです。
私は対話の意思が無く、生産性も無いワガママな人が大嫌いなので、会社員時代はいつもケンカばかりしていました。何故なら、ワガママな人を放置すれば、必ず真面目な人が泣きを見るからです。
でも、実際にケンカが始まると、みんなで私の頭を抑えつけて、事態を収束させようとしてきました。何故なら、ワガママな人と全面戦争をするより、私に言って聞かせて黙らせる方が楽だからです。
この時、私に対して「ケンカするな」と言う人は、誰も守る気が無く、その場を凌げれば良いと考える人ばかりでした。そして、そういう人がワガママな人にロックオンされると、ひたすら我慢して助けを待つか、なりふり構わず逃げるかのどちらかでした。
問題を解決する為に動くのではなく、自分が潰されないように保身を図る人の、何と多い事か。でも、ワガママな人は手段を選ばないので、負ければ地獄を見ますし、勝っても無傷では済まないので「逃げずに戦え」とも言い難いんですよねぇ・・・。
一度だけ、元走り屋のパワハラ上司をほぼ無傷で追い落とせた事があるのですが、その時は正面から行かずに、私が知る「搦め手」を全て使いました。その「搦め手」は過去に私がやられたド汚い手段ばかりだったので、正直、勝っても後味が悪かったです。
「やはり卑怯な手を使う人間は、アタマがブッ壊れてて、人格も終わってんだなぁ」と思いましたが、自分より強い相手と戦わないといけないなら、確かに手段なんか選んでいられないな・・・とも思いました。
強い方が勝つのではなく、勝った方が強いと評価され、正しい方が勝つのではなく、勝った方が正しいと評価される。悟りの視点から見ても、これは揺るぎない事実です。生存競争とは、斯くも虚しく、不毛で、罪深い戦いなのです。
正義感は、不毛感と、罪悪感を薄めてくれますが、決してゼロにはなりません。ワガママな人はドヤ顔で「俺は全然悪くない!」と喚き散らしますが、そんな真似が出来るのは、生まれてこの方「罪の意識」を感じた事が無いからです。
罪悪感の欠如は「無反省」というサイコパスの特徴であり、心理学ではマキャベリズムやナルシシズムと共に「ダーク・トライアド」と呼ばれる、パーソナリティ特性とされています。
ダーク・トライアドの特性は、生まれつきの脳の特性なので、親の教育方針や育った環境とは関係がありません。というか、どう教育した所で「真っ当な社会人」にはなり得ないので、あらゆる手段を使って「力を持たせないようにする」しかありません。
この世に正義があるとしたら、それは「ダーク・トライアドの特性を抑え込む事」だけが該当するように思います。でもそれは、暴力を使わせない、権力を持たせない、仲間を作らせないといった、少々クセのある対策になります。
若い頃に、この形で正義を執行した事があるのですが、その時は周囲の理解を全く得られず、私の左遷により半ば強引に事態を収束させられました。でも、その直後に職場が崩壊して、複数の社員が心を病み、一人の死者を出すに至っています。
要するに、会社の上層部は邪悪な人間を昇格させて放置した挙句、私が新人の頃にお世話になった先輩の人生を狂わせたり、死なせたりしたんです。でも、当時はパワハラという概念が浸透していなかったので、この殺人鬼を裁く事は出来ませんでした。
私を含む多数の被害者を出し、業務運航に大きな支障が出ても、会社の上層部は殺人鬼を庇い続けました。唯一の救いは、殺人鬼の邪悪さが明らかになり、職場で孤立した事くらいです。その殺人鬼も今年の四月に定年を迎え、会社から去っていきました。
送別会で「俺は最後まで役職を勤め上げた! 俺は勝ったんだ!」と言い放ち、周囲を唖然とさせたと聞きました。孤立した上司がチームワークを発揮できる訳が無いのに、最後の最後まで何を言ってんだろうなぁという感じです。
私がこの殺人鬼を仕留めていたら、自分も含めて何人も助ける事が出来た筈です。左遷後も似たようなパワハラ上司とケンカして、勝ったり負けたりしましたが、殺人鬼よりも邪悪で手強い人間は居ませんでした。
恐らく、私は来世でも邪悪な人間と対峙し、正義を執行すると思います。まあ、逆立ちしてもサイタマにはなれそうもないので、無免ライダーのポジションを狙っていきますよ。